《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
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私は再び訪れた洋館を見上げた。
前に来た時は土砂降りだったが、今日の天気は雲一つない快晴。
前回の不気味な印象とは打って変わって、明るい日差しの中で見る洋館は、趣があり洒落ているようにさえ感じる。
玄関へ向かおうと庭に入った瞬間、私は足を止めた。
「ん? どしたの?」
後から付いてきたおそ松さんが不思議そうに覗き込む。
前回見た時には伸び放題だった草がすべて抜かれていた。木や花壇もきちんと手入れされ、花まで咲いている。
「庭がきれいになってるからびっくりして……」
「ふーん、持ち主が業者とかに頼んできれいにしてもらったんじゃねーの?」
おそ松さんが興味なさそうに言う。
「そうですね……」
たぶん、おそ松さんの言う通りなんだろう。
私たちは庭を抜けると、洋館の中に入った。
ドアを開け、そっと踏み込む。
建物の中は相変わらずガランとしていて、暗くひんやりとしていた。
「さぁてと、何から調べる?」
おそ松さんがポキポキと指を鳴らす。
「え? おそ松さんって、普通に捜査できるんですか?」
「え〜その言い方酷くね?」
軽く睨まれた。
「だって、おそ松さんのことだから、また、和ませるのかなと思って。まあ、今日は和ませる相手は私しかいないですけど」
途端にまたおそ松さんはニヤニヤし始めた。
「ふーん、そんなに和みたかった?」
「べ、別に……」
「嘘ばっかり〜。ゆりちゃん、本当は和みたかったんだろ? ねぇ、和みたいんだろ? ねぇねぇ! 俺の和みのトリコなんだろ?」
おそ松さんにしつこく小突れる。