《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
仕方ない。
こうなったら、ストレートに言おう。
私は深呼吸をした。
「おそ松さん、この間、わざとおかしな捜査をして、チョロ松警部が犯人だと私が推理するように仕向けたんじゃないですか?」
「は?」
おそ松さんが言葉を失う。
「ち、違うんですか?」
おそ松さんはキョトンとしていたが、やがて、口を開いた。
「それってさぁ……つまり、チョロさんは犯人じゃないってこと?」
「え? い、いえ……。今ある証拠的にはチョロ松警部が犯人です」
おそ松さんが不思議そうな顔をする。
「ん? じゃあ、何が問題なの?」
「っ!」
確かに何が問題かと言われると……あ、あれ……?
おそ松さんは、私を真っ直ぐ見た。
「ま、俺はいつだってチョロさんの味方だよ。チョロさんの不利益になるようなことは絶対にしない。たとえ、チョロさんが殺人犯でもね」
しっかりとした口調で言い切る。
その言葉は確信に満ちていて、嘘があるとはとても思えなかった。
「そっか……そうですね……」
これだけしっかりと返されたら、もうこれ以上、何を聞いても無駄だ。
たぶん、おそ松さんは私を『誘導』してはいないんだろう。
私はホッと胸を撫で下ろす。