《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
二人きりになると、おそ松さんは肩を落として、恨めしそうに私を振り返った。
「んだよ〜! せっかくトト子ちゃんとホテル行くチャンスだったのに……ゆりちゃん、責任取ってホテル付き合ってよぉ!」
私は黙っておそ松さんを見た。
「ん? なに? 怒ったの? 冗談だってば!」
焦ったように手を振る。
「おそ松さん……私に何か隠していませんか?」
「は?」
おそ松さんが目を見開いた。
「本当は私のことを騙してますよね?」
おそ松さんがポカンと口を開ける。
「え? 何の話……?」
「何の話か分かりませんか?」
おそ松さんは、眉を顰めて唸ったが、すぐにニヤッとした。
「あー! 実はそんなにあそこが大きくないこと?」
「……そうなんですか?」
私は全く表情を変えず、静かに返す。
「え……いや、そんな真面目に返されても……あ、見てみる?」
「見ないです」
ニコリともしない私におそ松さんは怯えた表情を浮かべた。
「ゆりちゃん、どしたの? 俺、なんか悪いことしちゃった? 今日だって、ゆりちゃんの顔見たくて、せっかく会いに来たのに……」