《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
「なーんだ! 新人さんか! トド松くんは?」
明らかに不満そうな様子で頬を膨らませる。
「あ、トド松先輩は今は警察庁に出張に行っています。連絡しましょうか?」
デスクの上の電話機から受話器を取り上げる。
「いいわよ! そこまでしなくて!」
強い語気に気圧されて、私は「あ、はい……分かりました……」と受話器を戻した。
そのまま帰るのかと思いきや、トト子さんは部屋に入ってきて、私の向かいの席にどかっと腰を下ろす。
「で、何やってるの?」
「少し調べ物をしていました……」
「へぇー……」
トト子さんは、デスクに頬杖をついた。
何か用があるのだろうか?
そうだ、トト子さんにはお礼を言っておかないといけないんだった。
私は咳払いをすると、姿勢を正した。
「あの! あつし警視正から聞きました。この警察署に配属されるように私のことを推薦してくれたんですよね? ありがとうございました!」
途端にトト子さんは、真っ赤になった。
「なっ! 何言ってるの!」
「でも、推薦してくれたんですよね?」
「し、したけど! 別にあんたのためにしたわけじゃないから!」
「え、そうなんですか……」
私は俯いた。