《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第13章 青いプールに咲く花火(※カラ松)
一松さんが洋館で働くようになったのは、そんな経緯があったのか……。
「カラ松ガールは……ゆりちゃんは、一松が好きなのか?」
花火から目を離さないまま、カラ松さんがポツリと言う。
「え?」
「一松も君のことが好きみたいだ」
「…………」
私は俯いた。
花火が打ち上がる度に、目下に広がるプールの水面がキラキラと光る。
「俺も一松に負けないくらい……というか、一松よりも君のことを想っている」
カラ松さんが確信に満ちたように言い切る。
私は顔を上げた。
「なんでそんなに……私のことあまり知らないくせに……」
「君は……本当は俺のことを覚えてないんじゃないか?」
「え?」
カラ松さんは、溜息をつくと立ち上がり、プールサイドに飛び降りた。
「この間、警察署の前で会ったときに、俺のことを覚えていると言ったな。でも、本当は覚えてなかったんだろう?」
「は!?」
私も立ち上がり、プールサイドに降りた。
意味が分からない。
カラ松さんと洋館で出会ったのは今月の初め。
この間、警察署の前で会った時に忘れているはずがない。
カラ松さんは、真剣な顔で私を見つめた。
「ゆりちゃん……覚えてないのか? 俺たちは子供の頃に出会っているんだよ」
「え?」
また一つ大輪の花火が上がった。