《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第13章 青いプールに咲く花火(※カラ松)
***
赤塚小学校のプールにこっそり忍び込んだ私たちは、プールサイドに併設されている更衣室の屋根に登った。
周りには視界を遮る高い建物がなく、ちょうど真正面に大きな花火が見える。
確かに絶好の穴場だった。
「いい場所だろう? まさに真夏の天使が戯れる秘密の青き楽園!」
カラ松さんが得意そうに私を見る。
「いい場所なんですけど、不法侵入ですよ?」
私は溜息をついた。
「いいじゃないか。警察には内緒だぞ?」
私がその警察なんですけど……。
そう思いつつも空を眺める。
音ともに視界いっぱいに広がる花火。
上空は風が強いのか煙も残らず、すぐ流れていく。
私とカラ松さんは並んで花火を見上げていた。
「カラ松さん……」
私は、ふとあることを聞いてみたくなった。
「なんだ?」
「どうして一松さんは、カラ松さんのことを『クソ松』って呼ぶんですか?」
カラ松さんが苦笑する。
「あいつは、俺のことを嫌ってるからな」
「え? 嫌ってる!? でも、カラ松さんには『世話になった』って言ってたのに」
「世話になったかどうかと、好き嫌いはまた別だろう?」
カラ松さんが微笑みながら言う。
嫌ってるわりには、カラ松さんのことをすごく気にしてる感じだったけどなあ……。
それにカラ松さんも一松さんのことをすごく気にかけている。
「カラ松さんと一松さんは、知り合って長いんですか?」
「ああ……。ロングな付き合いだな。昔、あいつは俺の館の前で倒れていたんだ。お腹をすかせてな。それを俺が拾って、館で雇うことにした。人嫌いだったが、すぐに仕事を覚えて、立派な庭師になった」