《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第13章 青いプールに咲く花火(※カラ松)
警察署を出ると、大きな音ともに花火が上がった。
思わず立ち止まって、見上げる。
あ、そっか、今日は8月最後の土曜日だった。
「もう、夏も終わるんだ……」
ビルの隙間から見える花火を眺める。
今年の夏は、とにかく目まぐるしかった。
配属が決まって慣れない仕事が始まり、色々な事件が起こって、いつの間にか上司が逮捕された。
一松さんと出会い、十四松さんとひょんなことから関係を持ってしまい、トド松先輩にも……。
次々と起こる出来事に気持ちが追い付かない。
毎年、この赤塚花火大会を楽しみにしていたのに、今年はその存在さえ忘れていた。
いつか今年の夏を懐かしく思い出せる日が来るんだろうか?
そんな余裕を持てる日が来るのは、まだまだ先の気がする。
豪快な音ともに打ち上がる花火に見入っていると、突然肩を叩かれた。
「え?」
振り向くと、カラ松さんが立っていた。
「久しぶりだな、カラ松ガール。サタデーも仕事なのか? 刑事は大変だな」
優しい目で微笑みながら、私の頭を撫でる。
「あ、お久しぶりです。カラ松さん」
頭を撫でられて気づく。
うん、今日もカラ松さんの手は温かい。
カラ松さんは幽霊ではない、という一松さんの話を思い出した。