《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第13章 青いプールに咲く花火(※カラ松)
一人きりの部屋で書類を片付けると、私は顔を上げた。
もうすぐ19時か……。
今日はここまでかな。
やけに広く感じる捜査一課の部屋。
少し前まではいつもチョロ松警部とトド松先輩がいた。
チョロ松警部が逮捕されいなくなり、トド松先輩も忙しくなりたまにしか見かけない。
気づけば、この部屋は私一人で使うことが多くなっていた。
「帰ろう……」
誰に言うともなく呟いて立ち上がる。
この数日の私は、すっかり刑事としての自信をなくしていた。
まあ、元々自信があったわけではないけれど。
新たに現れた仮面の通り魔は、まだ捕まっていない。
ただの模倣犯なのか、チョロ松警部の仲間なのか、それとも……。
十四松さんに指摘された通り、私は自分の推理に疑問を感じ始めていた。
おそ松さんの行動がなければ思いつかなかった考え。逆に言えば、おそ松さんが望めば、いくらでも推理をコントロールできるということだ。
ただ、トド松先輩の言った通り、状況証拠は明らかにチョロ松警部が犯人だと指し示していた。
誘導なんてされていない、とも思える。
大丈夫……大丈夫じゃない……。
行ったり来たりで気持ちは揺れる。
結局は、おそ松さんに確認するしか方法はない。