《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第3章 紫の夜の秘めごと(※一松)
***
目を覚ますと、ベッドの脇に備え付けられたデジタル時計が光っていた。
『02:00』
ここ、どこだっけ?
真っ黒な天井をぼうっと眺める。
そっか、工場に泊まっているんだった。
変な時間に起きちゃったな。
もう一度眠ろうと寝返りを打つと、ベッドが軋んで硬い音を立てた。
同時に隣の部屋のドアが開く音。
一松さん?
気になって起き上がり、ドアスコープから外を覗いてみる。
一松さんの後ろ姿が見えた。
私の部屋を背にして立ち、辺りを見回している。
こんな夜中に何をしているんだろう?
チョロ松警部が帰り際に言っていた言葉を思い出した。
『一松さんに注意してね。何かあったら夜中でもすぐに連絡を入れるように』
一松さんが犯人とは思えないけど……。
でも、もしそうだったら?
息を殺して様子を伺う。
一松さんは尚も周りを見回している。
喉がゴクリと鳴った。
一体、何をするつもり?
一松さんはしばらくそのまま立っていたが、予想に反して、何もせず自分の部屋に戻って行った。
私は思い切ってドアを開ける。