《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第3章 紫の夜の秘めごと(※一松)
「は? あんた、ゴミクズに向かって『嬉しい』とか何言ってんの? バカじゃないの?」
一松さんはポケットに手を入れ、後ろを向いてしまった。
あれ? 怒らせちゃった?
私、悪いこと言ったかな。
一瞬焦ったが、よく見ると一松さんの耳は真っ赤になっている。
もしかして……照れてる?
素直なんだか、素直じゃないんだか。
可愛らしく思えて、つい笑ってしまった。
「な、なんだよ」
「ふふふ、何でもないです」
「お、お、俺、もう寝るから! お先!」
一松さんは、勢い良く自分の部屋に入っていった。
「おやすみなさい、一松さん」
乱暴に閉まったドアに声をかける。
「うん……」
ほとんど聞き取れないくらいの声が、ドアの向こうから返ってきた。
きっと赤い顔をして俯いているんだろう。
一松さんが隣の部屋にいてくれる。
不安はいつの間にか消えていた。