《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第12章 事件、ふたたび
「うん。でも、そのミーコの毛が、今回の通り魔事件でまた散らばっていた。どういうことだと思う?」
どういうことって、つまり……。
「まさか一松さんがやった、って言うんですか……?」
声が自然と震える。
そんなはずはない。
この間、工場の事件でアリバイが証明されたばかりなのに。
しかし、十四松さんの次の発言は意外なものだった。
「そうじゃなくて。一松さんが犯人と決めつけるのは簡単だけど、なんか不自然だと僕は思う!」
「不自然?」
「前回の事件といい、今回の事件といい、状況証拠がいかにも『一松さんがやった』と言いたげで……でも、前回だって結局アリバイがちゃんとあったよね? まるで、一松さんが疑われるように毎回誰かが仕向けているような気がするんだけど」
仕向けている?
誰が?
「でも、工場の事件も仮面の通り魔もチョロ松警部の仕業だったのに……」
私が言うと、十四松さんは少し困ったような顔をした。
「あのね、ゆりちゃん。そのことなんだけど、本当にチョロ松警部がやったのかな?」
「?」
「こんなこと言いたくないけど、僕、ずっと不思議だったんだ。あの、気を悪くしないでね! 新人でまだ警察に入ったばかりのゆりちゃんが、なんで急にあんな推理ができたの?」
「え……!?」
私は固まった。