《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第12章 事件、ふたたび
***
事件現場は、ブラック工場から歩いて数分の場所だった。
草木が生い茂った山の中で、道路がある以外は他に何もない。
ドライブに来たカップルが、景色を見ようと車を降りたところ、チェーンソーを持った仮面の通り魔に襲われたらしい。
幸い、カップルはすぐに車に駆け込み、現場から逃げ出したため、怪我一つなかった。
「チェーンソー……」
慌ただしく現場検証を行う捜査員たちを見つめながら、トド松先輩の横で私は呟いた。
「トド松さん、ゆりちゃん、ちょっといいかな!?」
鑑識の十四松さんが声をかけてきた。
私たちが振り向くと、十四松さんは小さなビニル袋を差し出した。
「これ、現場に散乱していて……」
「何ですか?」
私はビニル袋を覗き込んだ。
細かい毛が入っている。
「たぶん、猫の毛だと思う!」
十四松さんが答える。
猫の毛?
このやり取り、前にもしたような……。
「猫の毛って、まさか……」
トド松先輩の顔色が変わった。
十四松さんが頷く。
「持ち帰って詳しく調べるけど、ブラック工場の事件で採取した一松さんの猫と同じものだと思う!」
ミーコの毛?
「でも、デカパン所長のパンツについていたのは問題なかったですよね? デカパン所長はミーコをいつも可愛がっていたから」
慌てて言うと、十四松さんは私を見た。