《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第3章 紫の夜の秘めごと(※一松)
「俺たち、なかなか休みも取れなくて、みんなストレス溜まってるからさ……。あんたみたいな若くてきれいなのが客室に泊まっているなんてバレたら、危ないかもね」
「うそ……」
一松さんの言葉に途端に不安になる。
危ないって、つまりそういうことだよね?
絶句している私を見て、一松さんは急に意地悪く笑った。
「あっはぁ! 怖くなった?」
「…………」
「あんた刑事さんでしょ? 襲われたって撃退できるんじゃないの?」
確かに最低限の訓練は受けている。
でも、自信はない。
実技が苦手で、訓練校でもビリの成績だった。
一松さんが楽しそうに続ける。
「ヒヒッ、あんたみたいな華奢な女じゃ、いくら強くても、複数人で来られたら無理だろうけど」
「…………」
言葉を失っていると、一松さんは急に心配そうに眉を下げた。
「あ……ごめん。脅かしすぎた?」
「いえ、ちょっとびっくりして」
「……ん、でも、まぁ大丈夫だよ……。客室は鍵かかるし、俺の部屋が隣だから。何かあればすぐ助けるし……」
え?
思いがけない優しい言葉にポカンと口を開けると、一松さんは素早く目を逸した。
「俺みたいなゴミに助けられるのなんて、ごめんだろうけど……」
「ゴミ?」
「…………」
「ゴミだなんて。一松さんが隣の部屋なら心強いし、嬉しいです」
親切な言葉をかけてもらったのが嬉しくて、正直に伝える。