《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第12章 事件、ふたたび
一松さんがくっくっと笑いだした。
「あんた、やっぱり面白いな……」
「え……」
一松さんがのそりと歩き出した。
「そういうわけで、うんこしてくるから」
「どういうわけ!?」
「冗談だよ……」
一松さんは戻ってくると、溜息をついて、花壇の縁に座った。
私も隣に座る。
平日の昼間だからか、駅前でも人はまばらだ。
一松さんが黙っているので、私も何も言わずに空を見上げた。
この数日、私はひたすら働いていたのに、空はのんびりといつも通り澄んでいて青い。
なんだか自分がひどく間抜けに思える。
ゆったりと流れていく雲を目で追いながら、私は口を開いた。
「一松さん、どうして警察署の前にいたんですか?」
「……別に。俺みたいなゴミは会いに来ちゃだめなわけ?」
「そんなことない、けど……工場は?」
一松さんを見る。
「頼んで今日は午後休にしてもらった」
「ブラック工場なのに休み取れるんだ……」
「まあ、たまにはね……」
「そっか……」
「うん……」
それ以上、会話が続かない。
久しぶりに会えて嬉しいけど、同時に気後れしてしまう。
一松さんとは別に付き合っているわけじゃない。
お互いの気持ちを確認したわけでもない。
それでも本人を前にすると、一松さんと関係を持った後に、成り行きとは言え、十四松さんやトド松先輩とも体を重ねてしまったことに罪悪感を感じる。