《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第12章 事件、ふたたび
「あの……えっと……」
困っていると、ぐいっと手を引っ張られた。
紫色のパーカーがちらりと目に入る。
「え? 一松さん……!?」
大勢の記者に混じって、一松さんが私の手を掴んでいた。
「いちいち構うなよ。行くよ……」
一松さんが呟き、無理矢理引っ張る。
私も釣られて走り出した。
人を押しのけ、強引に進む。
「ちょっと! 待ってください!」
「同じ警察官が事件を起こしたんですよ?」
「チョロ松警部のような非道な殺人鬼が、同じ署で働いていたことに何か感想は?」
私は立ち止まった。
非道な殺人鬼?
何、その言い方。
「おい、ゆり!」
一松さんが慌てたように手を引っ張るが、私はそれを振りほどいた。
勢い良く振り向くと、記者たちがたじろぐ。
私はカメラに向かって叫んだ。
「チョロ松警部はとても立派な警察官でした! 捜査にも人一倍真面目でしたし、部下にも平等に優しく接してくれる人でした!」
静寂――。
しかし、静かになったのはほんの一瞬ですぐに記者たちが一斉に吠えだした。
「今のは本当ですか?」
「殺人鬼を擁護するつもりですか?」