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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第3章 紫の夜の秘めごと(※一松)


ふと顔を上げると、客室の前に誰かが立っているのが見えた。


あ、一松さんだ……。


心臓が大きく跳ねる。
頬が自然に緩んでしまう。

犯人かもしれないという気持ちより、もう少し話してみたいという気持ちの方が強い。

「捜査は終わったの……?」
一松さんは、静かに話しかけてきた。

「はい」

「なんか疲れた顔してるね……」

「そうですね。ちょっと頭が重いかな」

「あのさ……あんた、本当にここに泊まるの……?」
一松さんは私を見回す。

「そうですけど……」

『信じられない』とでも言うように、一松さんの黒い瞳が大きくなる。
まるで猫の目みたいだ。
猫が好きだと、本人も猫に似てくるのかもしれない。


「あんた、飯は食ったの?」
一松さんはすぐに表情を戻し、ぶっきらぼうに訊いてきた。

「今、食堂で食べました」

「あっ、そう……」

訊いてきた割にそっけない返事。

「あの、一松さん。待っていてくれたんですか? 何か用でした?」

「別に用はないけど……」

「…………」

じゃあ、何してるんだろう。

私の訝しげな視線に気づいた一松さんは、思い切ったように口を開いた。

「あのさ、寮は男しかいないんだけど。あんた、ホントに泊まるの……?」

「ええっ!?」

思わず間抜けな声が出る。

「女性はいないんですか?」

「うん。事務や受付の女性はみんな通い……」

「そうなんですか? 知らなかった……」


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