《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第11章 一軍様のリッチなお誘い(※あつし)
「どう? 僕と付き合いたくなったかな?」
そう言いながら、覗き込んでくる瞳はどこまでも澄んでいる。
思わず見惚れると、途端に悪戯っぽく笑う。
私は溜息をついた。
悔しいけどカッコいい……。
やっぱりエリートにはエリートたる所以がある。
あつしさんは、スーツの内ポケットから名刺を取り出すと、さらっと裏に走り書きをし、私の手に握らせた。
「無理強いはしないよ。ここから先を決めるのは君だからね。もし、愛人になる気になったら、いつでもここに連絡を。とてもよかったよ。また会えたらいいね」
私はよろよろと立ち上がり、部屋を出ようとする。
正直、名残惜しい……。
ドアに手を掛け、振り返ると、あつしさんは極上の笑顔を向けてくれた。
「それじゃ、またね、かわいいお嬢さん」
応接室を出ると、私は名刺を見つめ、熱い吐息を吐いた。
あつしさんのそつがなく優雅な立ち振る舞い。
やりがいのある仕事をして、夜は一流ホテルであつしさんとの甘い時間。
愛人も悪くないのかも……?
名刺に書かれた電話番号を見つめる。
今夜、連絡してみようかな……。
私が愛人生活に思いを馳せて、うっとりとしていると、先輩が苦虫を噛み潰したような顔をして、目の前に現れた。