《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第3章 紫の夜の秘めごと(※一松)
夜になり、今日の捜査はとりあえず終わった。
初めての現場で緊張もあったのか、私は疲れ切っていた。
でも、そう簡単には帰れないらしい。
チョロ松警部が私とトド松先輩を交互に見る。
「まだ、工場には犯人がいるかもしれない。何かあった時にすぐ対応できるように、しばらくは交代で工場に泊まるのはどうかな?」
「さっすが警部! 泊まるついでに1班の人たちにも話を聞けますしねっ」
トド松先輩も同意する。
言うのは簡単だけど、誰が泊まるの?
嫌な予感がして黙っていると、二人が同時に振り向いた。
「……で、とりあえず、今日の泊まり込みはゆりくんにお願いできるかな?」
あー……ですよね……。
天使のような笑顔で微笑むチョロ松警部。
きゅるんと上目遣いで見つめてくるトド松先輩。
うぅ……これじゃ断れない。
「分かりました……」
そんなわけで、私は初日から工場に泊まることになってしまった。
チョロ松警部とトド松先輩が帰った後も、一人で黙々と聞き込みをこなす。
なんで、やるって言っちゃったんだろ。
手帳にメモを取るたびに、気力も体力もガリガリと削られていく。
一通り終えた時には、もう23時。
イヤミさんに用意してもらった寮内の客室に、ノロノロと向かった。