《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第11章 一軍様のリッチなお誘い(※あつし)
「すみません。その、愛人というのはちょっと……」
「へぇ、愛人じゃ物足りない? 君は僕の1番になりたいのかな?」
あつしさんが優しい手つきで、そっと私の髪を梳いた。
思わずビクッと体が震える。
「いえ、あの、えーっと、そういう意味じゃなくて……」
「そんなに固く考えなくてもいいけどね。愛人も恋人もそんなに変わりはないさ」
「あの、でも………」
あつしさんの穏やかな口調、優しく澄んだ瞳、上品な身のこなし、流れるような話術。
段々と何が正しいのか分からなくなってくる。
あつしさんはパニックになる私を見て微笑んだ。
「ああ、そうか。ごめんごめん。いきなり愛人になれなんて言われても判断できないよね」
「あ、はい……」
どうやら分かってもらえたみたい。
ホッと胸を撫で下ろす。
「やっぱり体の相性もあるし、僕の技術にも不安があるよね? サンプルがないとその商品を買うかどうかは、なかなか決められないものだよ」
「はい…………ん? え?」
私は一度頷いたものの、何かがおかしいことに気づき固まった。
サンプル?
「お試しは必要だ。ごめんね、気づかなくて」
あつしさんは言いながら、さらに私との距離を詰めてくる。
私はそろそろと後退った。