《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第11章 一軍様のリッチなお誘い(※あつし)
あつしさんはまた立ち上がると、私の前まで来た。
いきなりそんなことを言われても話についていけない。
社会人になりたての私には、あまりにも別次元の話だった。
あつしさんはそっと私の頬を撫でる。
「僕との時間を過ごす時は、五つ星の赤塚ホテルのスイートルームをフロアごと予約しておくよ。君は僕が帰った後もそのままそこで自由に過ごしてくれても構わない」
「あの……」
「あ、仕事が気になる? 上と掛け合って、警察庁で働けるようにしてあげるよ。それなりの階級をつけてね。今よりもさらにやりがいのある大きな仕事ができると思うよ。悪い話じゃないと思うけど、どうかな?」
あつしさんはスマートにニッコリと微笑んだ。
いきなり降って湧いた甘い話は、思いがけない分、魅力的に見えるものだ。
目の前に急に美味しいお菓子をぶら下げられれば、人はついつい手を伸ばしたくなる。
あつしさんは確かに素敵。
女性たちが騒ぐのも無理はない。
でも……。
私は必死でクラクラする頭を冷静に働かせようとした。
そのお菓子はただ甘いだけじゃ済まない。
あつしさんは割り切った体の関係を求めているのだ。