《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第11章 一軍様のリッチなお誘い(※あつし)
一人でこっそり考え込んでいると、あつしさんが口を開いた。
「トド松くんも分かってると思うけど、マスコミにチョロ松警部の件が漏れれば大騒ぎになる」
確かに『殺人事件の捜査を担当していた刑事が、実は犯人でした』なんて、マスコミの恰好の餌食だ。
「分かっています。だから、誤認逮捕はあってはならない、もし間違いだったらさらに世間からの信用を失う……あつしさんは、そうおっしゃりたいんですよね?」
トド松先輩が淀みなく言うと、あつしさんはニッコリと笑った。
「そうゆうこと。さっすがトド松くん! 身内が犯人だったというだけでも大失態。おまけに逮捕までに時間がかかったから、『警察は無能だ、身内に甘い』と散々叩かれるに決まっているからね」
「チョロ松警部がやったのは間違いありません。鉈と金槌もロッカーから出てきましたし」
トド松先輩が答えると、あつしさんは立ち上がった。
「分かった。じゃあ、トド松くん、残りの捜査よろしくね。もう行っていいよ」
「はい、失礼します」
私たちは応接室を出ようとした。
「あ、ちょっと待って!」
あつしさんが呼び止める。
「何でしょう?」
「トド松くん、君は行っていいよ。えっと、橋本くんだっけ? そこの新人の子。君は残ってね」