《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第10章 銀行強盗
次の瞬間、耳を劈く大きな音と光。
一瞬で目の前が見えなくなった。
大勢の怒号、発砲音。
当時の幼い私には何が起こったのか分からず、大泣きしながら床に突っ伏した記憶がある。
「後から知ったんですけど、その時ちょうどSATが突入したんです。犯人は全員捕まりました。幼い私はSATの隊員に抱きかかえられて、外に連れ出されて、そのまま救急車に乗せられました。病院へ搬送され、母とも後からちゃんと会えたんです」
「ゆりちゃんの隣にいた男の子と女の子はどうなったの?」
トド松先輩が不安そうに尋ねる。
私は首を振った。
「それが分からないんです。現場はすごく混乱してたので……。私もショックだったのか、犠牲者がいたかどうかのニュースを見た記憶もあんまりなくて……」
「そっか……」
別にこの経験があったから、警官を目指したとまでは思わない。
小学1年生の時に起こった出来事なんて、朧げな記憶でしかない。
ただ、きっかけの一つにはなっているなと思う。
警察学校に入ると決めた時、勇気を出して声を上げたあの女の子の姿を私は確かに思い出した。