《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第10章 銀行強盗
床に座らされた時に私の隣にいたのは、小学校低学年ぐらいの兄妹だった。
たぶん、私とほとんど年齢は変わらない。
自分と同様、二人も親が近くにはいないようだった。
「少し経って、その男の子が、犯人たちに何か反抗的なことを言ったんです。正確には覚えていないんですけど、『こんなことはやめろ』とかそんなことを」
「へぇ、小学校低学年の子だよね? すごいな……」
トド松先輩が感心したように声を漏らした。
「はい。正義感の強い子だったんでしょうね。犯人たちは怒って、その男の子の胸元を掴んで乱暴に立たせました」
トド松先輩がゴクリと喉を鳴らす。
「そしたら、妹が立ち上がって、犯人たちに『お兄ちゃんを離して』と訴えたんです。私、その時、びっくりしたんですよ。すごく怖いのに、私と同じくらいの年齢の女の子が、勇気を出してこんなこと言うなんて。犯人たちは怒って、その女の子を殴ろうとしました」
「え……」
「気づいたら、私は『やめて!』と大きな声で叫んで、その女の子に覆い被さっていて。女の子の勇気が私にも移ったというか……今、考えれば無謀ですけど、その時は夢中だったんです」