《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第10章 銀行強盗
「はい。小学1年生の時だったかな。母に連れられて銀行へ行った時に」
「マジで……今なんて銀行強盗するやつなんかいないのに……」
トド松先輩が目を丸くする。
確かに今はもう銀行強盗事件は滅多に起こらない。
そもそも近年の銀行強盗の成功率は0%。
リスクが大きい割に得る額も圧倒的に少ない。
まだ現金輸送車を襲う手口の方が多い。
「私が子供の時でも銀行強盗なんて廃れてましたけど……。でも、その頃、なぜか銀行強盗が流行ったというか、立て続けに起こった時期があったんです」
「ゆりちゃんと僕って、数歳しか年齢変わらないよね? そんなことあったかなあ? 小さかったから記憶にないや……」
トド松先輩が首を傾げた。
あの日――。
私は銀行の窓口に行った母を待合の椅子で待っていた。そこへ覆面の二人組が急に押し入ってきて立て篭ったのだ。その場にいた行員と客全員が人質になった。
「みんな床に座らされて……覆面の犯人たちは外を包囲した警察と何やら交渉をしているようでした。よく覚えていないけど、そのうちの一人は『人質を殺すぞ』とヒステリックに喚いていましたね」
「ふん、馬鹿な犯人だな……」
トド松先輩が眉を顰める。