《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第10章 銀行強盗
「先輩……」
「ゆりちゃんは覚えてないの?」
「覚えてますけど……」
「そっか」
何と返したらいいのか私が次の言葉を探していると、トド松先輩が顔を上げ、急にまたきゅるんっとした笑顔になった。
「で、ゆりちゃんはどうするのっ?」
「え……何がですか?」
意味が分からず聞き返すと、トド松先輩は、くすくす笑う。
「だーかーらー! 僕は、あの夜のことを覚えてるんだよっ? ゆりちゃん、どうするの?」
悪戯っ子のような表情で私を見つめた。
「どうするって言われても……」
「その1! 刑事を辞めて僕に付いてくる」
先輩が人差し指を突き出す。
「うーん……」
「その2! 僕とへそフレになって、毎日へそプレイをする!」
「へ、へそフレ……?」
「その3! 今ここでへそを出して、僕にスマホで撮影させてくれる!」
「はっ?」
「はい、じゃあ、この3つから選んでねっ」
トド松先輩が可愛く3本の指を振る。
「選択肢、この3つしかないんですか? 3番目なんてもう意味分からないし……」
「選択肢増やす? えーっと、その4、ゆりちゃんのへそのシワを……」
「へ、へそはもういいですっ! へその選択肢はどれも選ばないですからっ!」
私が慌てて止めると、トド松先輩はアヒル口をニヤリとさせた。
「ふーん。じゃあ、1番の『僕に付いてくる』を選ぶの?」