《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第9章 犯人はあなたですね
十四松さんがすぐに電話をかける。
……数分後、電話を切った彼の声も震えていた。
「チョロ松警部のロッカーの一番奥に新聞紙に包まれた鉈と金槌が見つかったそうです……」
私は涙を拭い、チョロ松警部を見た。
「デカパン所長が殺された日、警部は一番最後に事件現場に来ましたよね? 私が道に迷って1時間以上も遅れたのに。自宅謹慎が解かれたところとはいえ、几帳面な警部がそんなに遅れるはずありません」
「そういえば、そうだ……!」
トド松先輩がハッとする。
「警部は、暗幕の影にずっと隠れていて、私とトド松先輩が揃うのを待ってから、出てきたのではないですか? もし、その時間にIDカードの履歴がなくても、他の捜査員と一緒に工場に入ったとでも言えば済む話です」
チョロ松警部はうなだれた。
「デカパン所長殺人事件、そして、仮面の通り魔事件。どちらの事件も犯人は、チョロ松警部、あなたですね……?」
警部は答えなかった。
やがて、意を決したかのようにトド松先輩が「失礼します」と敬礼し、チョロ松警部の両手に手錠をかけた。
重い金属音が響いた。