《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第9章 犯人はあなたですね
本当はこんなこと言いたくないのに……。
涙が溢れてきた。
頼りなくて、抜けている部分もあって、女性やアイドルに滅法弱くて。
でも、仕事には一生懸命なチョロ松警部。
決して威張ったりせず、いつも部下を気遣ってくれる優しいチョロ松警部。
私は警部を上司として心から尊敬していた。
チョロ松警部のチームに入ることができて、本当に嬉しかったのに……。
警部は眉を下げ、何かを言いたそうに私を見つめた。
その時、イヤミさんが走ってきた。
「履歴あったザンスよ! 午前6時頃にチョロ松警部のIDカードが使われているザンス!」
全員が一斉にチョロ松警部を見た。
「……くっ!」
チョロ松警部は後退った。
トド松先輩が素早く警部の腕を掴む。
「チョロ松警部、失礼ですが、首を見せて頂きます」
トド松先輩は警部のトレンチコートの襟をめくった。
チョロ松警部のうなじに強く擦ってできたようなまだ新しい傷があった。
私は涙が止まらなかった。
気づけばトド松先輩も目を潤ませている。
「十四松さん、署に電話して、チョロ松警部のデスクやロッカーに不審なものがないかすぐに確認してもらって下さい」
チョロ松警部の腕を掴んだまま、トド松先輩が静かに言った。