第9章 犯人はあなたですね

「警部、詳しい話は署で伺います」
トド松先輩がチョロ松警部を外の車へと誘導していく。

チョロ松警部は一切抵抗しなかった。

私の前を通り過ぎる時、警部は顔を上げ、優しく微笑んだ。

泣いていた私の肩を一松さんがそっと抱いてくれる。


こうして、私が警察官になって初めて関わった事件――ブラック工場殺人事件は何とも後味の悪い形で幕を閉じた――







――かに思えた。



実際は違った。



事件はまだ終わらなかった。



私は重要なことを見落としていたのだ――。




＊＊＊

《第9章で分かったこと》

・ブラック工場デカパン所長殺人事件、仮面の通り魔事件の犯人は、チョロ松警部

・工場の殺人事件で使われた凶器である鉈と金槌は、ゆりが仮面の通り魔に襲われた時に使われた凶器と同じもの

・事件当日、早朝にチョロ松警部のIDカードが使われていた

・デカパン所長は、早朝に殺されたが、昼休み中に事件が起こったように見せかけるため、犯人がトリックを使っていた




第10章へ続く――。