《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第9章 犯人はあなたですね
「私が通り魔に襲われた時、十四松さんが通り魔に跳び蹴りをしました。通り魔は後ろから倒れこみました。首以外は服で覆われていたので、彼は首の後ろを怪我したはずです……」
喋りながら自分の声がだんだん震えてくるのが分かった。
上司にこんなことを言っていいんだろうか。
築き上げた信頼が音を立てて崩れていく。
「チョロ松警部……あなたが咄嗟に首を隠したのは、私たちが首の傷を見たからだと勘違いしたからですよね?」
「…………」
「通り魔であることがバレるのを恐れるあまり、過敏になっていたチョロ松警部は、『昨日の夜は』『お楽しみでしたか?』と言われ、前日の夜に起こしたばかりの犯行のことが咄嗟に頭に浮かんだんです」
「…………」
「トド松先輩は、ただ、からかっただけでしたが、チョロ松警部は勝手にトド松先輩の言葉に含みがあると感じてしまった。犯行のことを揶揄されたかもしれないと思ってしまったんです。パニックになった警部は、首の傷を見られたかもしれないと思い、慌てて隠しました」
「そんな……嘘でしょ……」
トド松先輩が青ざめる。
私はチョロ松警部を見つめた。
「チョロ松警部、首にあったのは十四松さんに跳び蹴りされた時についた傷ですよね……?」
水を打ったように沈黙が広がった。