第9章 犯人はあなたですね

チョロ松警部が珍しく怒りを抑えているように声を絞り出した。
「ゆりくん、本気か……？　つまり、君は警察の中に犯人がいると言いたいのか……？」


「警部……。まだ、凶器は見つかってませんよね？」


「凶器？　ああ、うん。まだ見つかっていないけど……」

突然、凶器の話が出て、チョロ松警部は面食らったようだった。

私は、後ろで話を聞いているおそ松さんを振り返った。

「おそ松さん、さっき言ってましたよね？　『二つ合わされば破壊力のあるものができる』って」


「へ？　何の話？」
おそ松さんがポカンとする。


「エロい女刑事の話です」


「はぁ!?　そりゃ、言ったけどさ、今この空気の中で言うことじゃなくね!?　俺、バカみたいじゃん！」


私はおそ松さんの言葉を無視して話し続けた。

「デカパン所長の背中の傷は、鋭い刃物を強い力で無理矢理押し込んだような傷でした。でも、いくら捜査しても、凶器になりそうなものは出てきませんでした」

「そうだね」
トド松先輩が頷く。


「おそ松さんの話を聞いて、ふと思ったんです。犯人は二つの凶器を組み合わせて使ったんじゃないかなって。それで、たまたまなんですけど……最近、私そういう凶器を見かけたんですよ……」