《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第9章 犯人はあなたですね
「犯人は、所長を殺した後に、こうやって窓の暗幕を一枚だけ外して、遺体にかけて見えないようにしておいたんです。暗幕は何重にもかけられているから、一枚だけ外したところで暗さは変わらないでしょう?」
「確かに……」
「気をつけて見れば、暗幕で隠した遺体の場所だけ盛り上がっていたはずです。でも、入り口付近は薄暗いですし、誰もそんなところに遺体があるなんて思いもしない」
暗幕をかけられたおそ松さんの姿は、暗がりの中ではほとんど分からなかった。
「遺体はずっとそこにあったのに、誰も気づかなかったんです」
誰かがごくりと息を呑む音がした。
私は窓にかかる暗幕の影にそっと身を寄せた。
「犯人は遺体を隠した後も、こうやって窓際にかかっている暗幕の影に隠れていたんだと思います。そして、昼12時。2班が休憩で食堂に移動したのを見計らい、犯人は遺体から暗幕を外しました」
私は、おそ松さんから暗幕を外すと、ドアの前までおそ松さんの体を引きずった。
「これで急に遺体が入り口に出現しました。あたかも昼休みに殺人が起こったように見えます」
私は暗幕を拾い上げた。
「ちなみに遺体から外した暗幕は、また元通り窓にかけておけばいいだけです」
チョロ松警部が唸った。
「なるほど……」
「それで、肝心の犯人が誰なのかという話ですが……」
みんな一斉に顔を上げた。