第9章 犯人はあなたですね

「犯人は昼休み中に遺体を運んだりはしていません。そんなことしてたら、事務や受付の人に見られちゃいますから。第一、死亡時刻をずらすため、殺してすぐに遺体を冷やす必要がありました。遺体は『昼休み前から製造室の入り口にあった』んですよ」


「え？」
みんなが不思議そうな顔をする。
よく意味が分からなかったようだ。


「昼休みどころか、朝、従業員たちが出勤してくるよりも前から、製造室の入り口に遺体は置いてあったんです」
　

トド松先輩が口を開いた。

「どうやって？　デカパン所長は体が大きいんだよ？　遺体が置いてあればすぐに分かるよ。仮に隠せたとしても遺体を出した後に、隠すのに使った物を処分しなくちゃいけないよね？　そんな物は見当たらなかったけど？」


私は製造室を振り返り、ドアから見える窓を指差した。


「暗幕です」


「暗幕……？」

私は、おそ松さんを振り返った。
「おそ松さん、製造室で寝転がってみてくれませんか？」

「俺？　ほいほ〜い」

おそ松さんが、製造室の中に入り、ドアから少しずれた場所にうつ伏せに寝る。

私は、窓からバサッと一枚暗幕を落とし、おそ松さんの上に被せた。