《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第8章 謎、解けましてございます
トド松先輩が手帳を確認する。
「証言によると、一松さんは12時10分頃から12時20分頃までの約10分間姿が見えなかったそうです」
「アリバイ成立ですねっ!」
私がピースサインをすると、チョロ松警部は首を振った。
「いや、まだだよ」
「え?」
「一松さんが12時10分に裏庭にいたのは、写真から間違いないようだね。でも、空白の時間は10分間もあった。写真を撮った後に、製造室へ行って所長を殺した可能性もある」
確かにそうだ……。
やっぱり、そう簡単には証明できないのか……。
私は静かに一松さんにスマホを返した。
「あのさ……」
一松さんが遠慮がちに口を開いた。
「はい……?」
私は項垂れながら返事をする。
「写真1枚だけじゃないんだけど」
「え?」
みんなが一斉に一松さんを見た。
「俺、その後もずっと写真撮ってたから。500枚くらい」
「ごごご、500枚!?」
私たちが驚くと一松さんはスマホを掲げ、写真を1枚ずつスライドさせ始める。
「これが少し右に動いたミーコ、少し顔をずらしたミーコ、前足を1センチ動かしたミーコ、2センチ動かしたミーコ……」
コマ送りのような写真が続く。
「……さらに、1歩進んだミーコ、腰を下ろしかけるミーコ、腰を下ろしたミーコ、左後ろ足を少し前に動かしたミーコ、左後ろ足をそこから少し上げたミーコ……」