《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第8章 謎、解けましてございます
「ああ、つまり『そういうこと』だよ」
「そういうこと?」
私がきょとんとすると、トド松先輩がスマホから顔を上げた。
「何が何でもデカパン所長を殺した犯人を捕まえないと、工場と警察の関係が崩れるんだよ。たぶん、何かしらの利益が工場から警察上層部に流れてるね」
先輩はさらりと言う。
「え、それって……」
汚職ってこと……?
警察が……?
トド松先輩はスマホをテーブルに置いた。
「まぁ、大っぴらには言えない何かがあるんじゃない? ブラック工場なんて、犯罪まがいのことをやってるわけだし」
「つまり、『犯罪を見逃す代わりに警察に利益をよこせ』ってことですか?」
「そうゆうことっ。うちのお偉方ならやり兼ねないよ。ま、詳しいことは僕たち下の人間には分からないけどね」
横流しできるほど、あの工場は利益があるんだろうか?
私は首を捻った。
「先輩、あの……前から知りたかったんですけど、ブラック工場って何を作っているんですか?」
「ダヨーンだね」
「ダヨーン!? ……って、何ですか?」
「ゆりちゃん……世の中知らない方がいいこともあるんだよ。後ろめたい罪悪感に押し潰されたくはないでしょ?」
「え……」
チョロ松警部が咳払いをした。
「二人ともお喋りはもう終わりだよ。ゆりくんもこのことは外で話さないでね」
「あ、はい。すみません……」
「理由が何にせよ、我々にしてみれば、捜査員を投入してさらに詳しく捜査ができるのはありがたいことだよ。さぁ、行くよ」
チョロ松警部が荷物を持って足早に部屋を出る。
私たちも後に続き、外に待機していた車に乗り込んだ。