《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第8章 謎、解けましてございます
翌朝、出勤すると、チョロ松警部がデスクで外出の準備をしていた。
「おはよう、ゆりくん。今からブラック工場に行くよ。すぐに準備して」
「え? もう捜査に行くんですか? 朝の捜査会議はないんですか?」
私がぽかんとすると、警部は早口で答える。
「うん、今日は上からの命令で、もう一度現場を徹底的に洗い直す。鑑識課や他の課の捜査員にも来てもらう予定だよ」
「分かりました」
私はデスクに鞄を置くと、向かいのトド松先輩をちらりと見る。
数時間前まで先輩は私のベッドの中にいた……。
「トド松先輩、おはようございます」
「ん〜、おはよー」
とっくに準備を終えたのか、先輩は呑気に座ってスマホを弄っていた。顔も上げない。
昨日の甘い出来事が嘘のよう。
チョロ松警部の前だし、何もなかったように振る舞ってくれるのは嬉しいけど……あまりに素っ気なくて少し淋しい。
「トド松くん、ゆりくん、準備はできた? もう行くよ?」
チョロ松警部が私たちに声をかける。
私は慌てて荷物を纏めた。
それにしても、今からまた捜査し直すなんて……。
「警部、他の捜査員や鑑識さんもまた捜査に来るって異例じゃないですか? 他の事件と違って、工場の事件は随分と熱心に捜査するんですね」
私が疑問に思って尋ねると、チョロ松警部は頷いた。