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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第2章 謎はブラックに始まる


一人はすらりと細身のスーツ姿、もう一人は猫背で汚れた作業服姿。

さっき工場の前で会った人だ……。

私は、作業服の男性に釘付けになった。ポケットに手を突っ込んで気怠そうに歩いてくる。男性も私に気づいたのか、何かを言いたそうにこちらを見つめた。


「チョロ松警部、いつもお世話になっているザンス!」
スーツの男が軽快に話す。出っ歯がすごく目立つ人だ。

「イヤミさん、どうも」
チョロ松警部も笑顔で返した。

「お知り合いなんですか?」
隣のトド松先輩にこっそりと聞いてみる。

「うん。ブラック工場のマネージャーのイヤミさん。工場でよくトラブルがあって、毎回警察が呼ばれるから、もうすっかり顔見知りなんだよ」
トド松先輩も小声で返してくれた。

「警察沙汰になるようなトラブルが、そんなに頻繁にあるんですか?」

「まぁ、『ブラック工場』だからね」
トド松先輩がため息をつく。

 
イヤミさんは、チョロ松警部に一気に捲し立てた。

「チョロ松警部、早く犯人を捕まえてチョーよ! きっと工員の誰かが殺ったに決まっているザンスよ! 全く所長を殺してしまうなんて腹黒……じゃなくて、腹がブラックな奴ザンス!」

わざわざそこ『ブラック』って言い直さなくてもいいと思うんだけど……。ブラックに対する並々ならぬこだわりを感じる。

チョロ松警部が、すかさずイヤミさんに尋ねた。
「ふむ……イヤミさん、なぜ工場内に殺人犯がいると思うんです?」

「うちの工場はIDカードで認証しないと入れないザンス! 工員たちが逃げ出さないように、敷地の壁も高くして、電流も流しているザンス! IDカードなしで、外から人が入るのは不可能ザンス!」

「うわぁ……まるで刑務所ですね」

つい正直な感想が漏れてしまい、私はイヤミさんに睨まれた。


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