第1章 1
「・・・俺の声を好きって言ってくれる子がいる。反対に、俺の声を嫌いだって言う子がいる。
ka-yuのタトゥーが好きって言う子がいる。反対に、嫌いだって言う子もいる。
youの噛みっぷりが好きって言う子がいる。反対に、嫌いだって言う子もいる。
kiyoの腹が好きって言う子がいる。反対に、嫌いだって言う子もいる。
shujiの落ち着きが好きって言う子がいる。反対に、嫌いだって言う子もいる。
───そういうことなんちゃう?」
「えっ・・・・・・と・・・」
今度は香菜が目を丸くする番や。
俺は笑う。
「人それぞれってことや。腰回りに肉がない方が好きって男、肉があった方が好きって男・・・・・・皆が皆、腰が細い女が好きって訳やない」
香菜は俺の目を見て、真剣に話を聞いとる。
俺はモニターに目をやる。
モニターにはPVがリピート再生されとって、今は『色っぽく』のコンセプトのもと、女装した俺が歌っとる。
俺はモニターを指差した。
「腕の良いメイク、センスの良いスタイリスト、他にもたくさんのスタッフ・・・・・・その手助けを借りて俺は女装をして『キレイ』だと言われとる。でもな、ほら」