第1章 1
俯いとる香菜。
会話もなく、モニターだけがPVを賑やかに映しとる。
───二人の男に声をかけられる美女。
振り向いたのは・・・・・・女装した、俺。
・・・・・・我ながらよくここまで女に成りきったもんや。
感心しながら、それでもぼーっとモニターを眺めとると、香菜が口を開いた。
「こ・・・腰を・・・」
「んぁ?」
香菜は俯きながら呟いた。
「腰を・・・見てたんです。・・・嘘をついて・・・すみませんでした」
スッと香菜が頭を下げる。
その言葉と様子に、俺はただ目を丸くするしかなかった。
「yasuさん・・・腰が細いな・・・と思って」
「まぁ・・・香菜よりも細いかも知れんけどな」
俺の言葉に香菜がムッとした表情になる。
それから、はぁ、とため息をついた。
「・・・・・・やっぱり男の人って、細い腰の女の人の方が好きなんですかね?」