第1章 1
「だっ・・・!!だからっ・・・違うって言ってるじゃないですか!!」
両手で俺から体を離そうとしながら、香菜は叫ぶように否定する。
それでも香菜は女。
男である俺の力には敵わない。
「・・・・・・欲しいなら、『欲しい』って言ってや、香菜・・・・・・」
ぐぐぐっと体を寄せる俺。
と。
「~~っっ!!yasuさんっ!!止めてくださいーっ!!」
香菜が声を上げて、俺の体を押した。
───ドンッ。
「ぐはっ!!!!わ・・・脇腹に・・・」
「あぁ!!yasuさんすみません!!」
香菜の渾身の一撃が見事に脇腹に入り、俺は座っとったソファに倒れ込んだ。
痛みに悶絶する俺を見て、一撃を食らわせた香菜が慌てとる。
「~~~~!」
「すみませんー!悪気は無かったんですが・・・」
香菜はシュンと下を向いた。
痛みを堪えながら体を起こした俺は、脇腹に当てている手とは逆の空いている手で、まぁまぁと宥める動作を繰り返す。
・・・俺はもちろん!!冗談のつもりやったんやけど、香菜にとっては貞操の危機やったんや。
悪いんは俺なんやから、自業自得と言えば自業自得なんやろな・・・。