双子の悪戯 Fred and George Weasly
第2章 ~2ヶ月前~追憶
「そんなんじゃ、絶対にない!」
フレッドはかすれ声で言った。
もう泣いていたかもしれない。
「じゃあなんなんだ、フレッド。わからないよ。お前のことがわからないことなんてなかったけど…」ジョージもほとんど泣きそうだった。
それはフレッドも同じだと思った。
「あのレイブンクローの子じゃないんだ。お前なんだよ…兄弟としてなんかじゃなく、お前が好きなんだよ…」
フレッドは絞り出すように言った。
言ってしまった。
ジョージの顔を見ることができなくて目を閉じて俯いた。
ついに言ってしまった。
もうおしまいだ。
気持ち悪がられるだろうか?
これまで通りとはいかないだろうか…?
フレッドは今すぐ過去に戻ってやり直したくなった。先週の土曜日からでいい。レイブンクローの女の子を見ても機嫌を損ねたりせずに、いつものようにいたずらをするんだ。
レイブンクローの女の子と幸せになるジョージを祝福しながら双子の片割れとして生きていく自分…。
想像するだけで胃がよじれる思いだったが、今の惨めさよりは何倍もましに違いなかった。
「フレッド」
ジョージの声がした。
その次の言葉は一生聞きたくないと思った。
フレッドは最悪の気分で顔をあげた。
ジョージの顔をちらりと見た。
ジョージの顔は、予想とは違っていた。
フレッドが何度も想像した思いを打ち明けた時のジョージの顔は、大抵気味悪がっていて、残りは冷ややかだった。
でも、今のジョージは、不思議なことに赤くなっていた。
「僕もだ。レイブンクローの子はほんとになんでもない。フレッド、お前が好きだ。」
フレッドは訳が分からなかった。
しかしジョージが照れた顔で言った言葉を頭で反芻していると、少しずつ意味が浸透してきた。
「冗談じゃないよな?」
「ああ。冗談じゃないよな?」
「ああ」
フレッドは信じられない気持ちでいっぱいだった。
でも同時に、世界一幸せだった。
最近全然わからないと思っていたジョージのことがこれまでよりずっとわかる気がした。