双子の悪戯 Fred and George Weasly
第2章 ~2ヶ月前~追憶
練習後も、フレッドの心は晴れなかった。
みんなが帰った後、ジョージと2人でユニフォームを脱ぎローブに着替える時、ジョージの体が目に入って、ドキッとしたが、それさえも苛立ちに変わった。
この体をいつか誰かが…
「なあフレッド、今日なんかおかしいぜ。大丈夫か?」
ジョージがフレッドの肩にそっと手を置く。
これくらい、兄弟なら普通だ。普通だ。なんともない。なんともない…。ドキドキするな、緊張するな、赤くなるな…。空っぽの胃が暴れているような気がした。
「なんでもない」
ジョージが少し笑う。ニヤッとしたというより、微笑んでいるのが背を向けていてもわかる。
なんでもわかる。なんでもわかっていると思っている。
でも…。
「ほんとになんでもないんだ。早く帰ろうぜ、腹減って死にそうだ」
できるだけ声を普通にしていう。
ジョージはまだちょっと疑うような顔をしていたが、
「そうだな」と言ってもう一度肩を叩いたので、フレッドはまた胃が暴れている気がした。
「なんかあったら言えよ、フレディ」
ジョージは優しく言った。
フレッドとジョージ最大の違いはここだ。
ジョージは、フレッドにない優しさを持っている。
そばかすの1つ1つまでそっくりな双子の、決定的な違い。
そのことに、ジョージはもう気づいているんだろうか。
「ありがとよ、相棒」
フレッドはもごもご言って、ジョージとともに、更衣室を後にした。