第6章 未来人
ー その何かがわからないから
もやもやするのか…
「 俺のところにも女中が来て、
慌てふためいてたから何事かと来てみたら…
あらた、いい加減起きなよ。
風邪なんて引かれたら診るのは誰だと思ってんの?」
悟られないようにと
いたって普通にあらたの側に行き
肩を揺する。
『 …うるさい。起きてる、聞こえてる。』
「 …だったらきちんと部屋で寝ろ!何してんだ!」
『 …秀吉、そんなに怒らなくても死なないから…
家康も起こして悪かった。
ただ昨日はちょっと、夜風に当たってたら
気づいたらそのまま寝てた。』
眠そうな目を擦りながら
いつもより更に低い声で話す。
「 それなら良いけど…
頼むから女中を驚かしたりしないで。
こんな朝早くに起こされるし、迷惑だから。」
なんて、秀吉さんの事がなかったら
真っ先に俺を呼んでくれたことが
内心嬉しかった、何て思いは表には出さない。
ー 気持ち悪いな…俺。
玩具を取られた子供みたいな
そんな感情を抱くとは
思っても見なかった…。
そんなあらたはと言うと
縁側に座って、ぼーっと庭を眺めている。
「 あらた、お前に何かあったら信長様が
黙っちゃいないんだ。頼むからしっかりしてくれ…」
そう言い残すとその場を離れた秀吉さん。
今ここに居るのは俺とあらただけになった。