第5章 素質
『 …ゔ…っ!!!』
この時代に来てから
規則的に起きる謎の痛みが
身体中を襲う。
『 …ゔぁ…っ…くっ 』
ー 来たか…っ
ギシギシと骨が軋み、砕けるような…
息をする事も忘れるほどの痛みが
2分ほど続く。
そう、新月と満月の夜に
『 …くっ!……ゔぁ…っ… 』
どこからとも無く流れ出る汗。
ガクガクと身体が震えるのに加え
呼吸がままらないのでどんどんと
身体は痙攣していく。
それを右手で抑え込む。
無駄な抵抗なのもわかっているが…
何かしないとどうにかなりそうで
爪が腕に食い込む痛みももうわからない。
ー っ…死なせてもらえないのか…
生き地獄とはこのことか、
意識が朦朧とする中で思う。
『 …ゔぁぁぁぁ…』
たかが2分…
されど2分…
『 ……はっ…はっ……。』
2分を過ぎるとスーッと消える痛み。
呼吸が楽になり、震えも止まる。
『 ……ふー、』
掴んだ腕は夜着の上からでもわかるほど
血が滲んでいた…。
ー あー…バレたらめんどくさそうだな…
ぼーっと天井を見上げながら
呼吸を整える。ふと家康の顔がよぎった。
ここに来て
みんなが俺を受け入れ始めている。
ー 家康はあー見えて心配性…
布団から起き上がり
汗だくになっている夜着のまま
水を飲みに部屋から出ると
夜なのに輝かしくも光る
満月が姿を現わす。