第4章 これから
「 お前にそんな噂が立ってるらしいぞ。」
茶菓子を持ってきた政宗が
団子を頬張りながら
書物に目を通す俺を指差す。
『…つくよみのみこと?』
「 そう、神話に出て来る神様だ。
その月読命のお姿だーって家臣や女中がお前を見て騒いでる。」
『 …悪いが神話は知らないし、
何故そうなったかも検討がつかないな。』
「 あらた様が月読命…
謎が多いところがぴったりやも知れませんね。」
『 …それより、これは?』
「 あ、それはですね…」
あの日からまた更に
みんなの出入りが激しくなったこの部屋に
今日は政宗と三成、そして家康が居る。
織田信長に会った次の日には
豊臣秀吉以外が此処にきて
色んなことを聞かれた。
とりあえず、どうやら俺は
まだまだ死なないらしい。
そして今日もみたらし団子片手に
わらわらとこの部屋に人が押し入ってきた。
政宗お手製のみたらし団子で
お茶を飲みながら、
みんな好き勝手に寛いでいる。
俺はと言うと
じっとしている気にもなれず、
かと言って何が出来るわけでもなく
悩んでいた所に信長様に
読み書きを覚えろと言われ、
三成に教えてもらいながら
書物を読んでは書く練習が始まった。
それを邪魔するかのように
政宗やら光秀やら…
毎日のように誰かが来る。