第3章 御対面
『 動きやすいのにしてくれないか、着物は慣れてないんだ。』
ー 今着てるのもかなり動きにくい。
着物と言う習慣がなくなった俺の時代。
着方もわからず、女中さんとやらに
着せてもらったものの肩苦しく、動きにくい。
「 また何着か仕立ててもらうのに城下に行かないきゃな。明日にでも行くか?」
「 …とりあえず、俺は仕事が残っているので戻ります。また食後に薬飲むように持って行くから。」
そう言って部屋を出た家康を筆頭に
次々と部屋を出て行く武将達。
「 あらた様、お部屋まで少し距離があるのでご案内しましょうか?」
三成が心配そうに尋ねてきた。
自分の居た部屋からここまでは
いろんな所を右へ左へと曲がりたどり着いたのだが…
『 いや…一人で戻れる。』
「ですが…此処まで来るのに…」
『 気にするな。』
それだけ伝えると
元来た道へと戻る。
ー さて…
前代未聞の出来事なはずなのに
どっかで冷静でいられる。
長い夢でも見ているようで
でも地に足はついているのだから
やっぱり現実なのだ。
部屋に戻るまでの
長い廊下を考えながら歩いたせいか
すれ違う女中や家臣にも気付かず、
そして城内で変わった噂が立ったのも
後々知ることになる。