第1章 500年前
ふわふわ、ふわふわ…夢の中。
せめて夢だけでも君に会いたいと願う。
まだ一度も出てきてはくれないけれど…
ー第1章 500年前 ー
冬の電車は卑怯だ。
座席に座ってしまうとポカポカと
暖かい空気が足元に流れ込む。
電車の横揺れと、外との温度差に
どんどん瞼が落ちていく。
ぼーっとした意識の中、何とか起きて
寝過ごさないようにしなければと睡魔と戦う。
ー 徹夜だったからな…。
リュックの中には徹夜で
仕上げたレポートが入っている。
医学書やノート、毎日の必需品も同様に…
乗り慣れた電車は
今では乗り心地も気にならずに寧ろ心地いい。
あと二駅で下りる駅…
流石に睡魔に勝てないとわかり、何とか眠たい目を見開いて携帯のタイマーを使い、数分で起きるよう設定して目を閉じた。
意識はもう真っ白な光の中である。