第10章 ペンダント
樹輝side
颯太と昂が向かい合っている。
「あの、樹輝先輩。今から何を?」
海堂が隣で見学していた。
「……腕試しみたいなもんだろ。」
「危なくないですか?」
「危ないな。」
「えー……颯太さんやめて欲しいな……」
昂が颯太に向かって走り出す。
速い。
走りながら水を生み出し、刃物のような形を作る。
あんな一瞬で……
颯太も仕掛けるが間に合わない。
「おっそ……」
「くっ……!」
昂が腕を振り下ろす。
颯太はギリギリの所で避ける。
ズドーンッ!
颯太がさっきまでいた所の床にはヒビが入っている。
物凄い威力だ。
昂は振り下ろした腕をそのまま颯太が避けた方へ動かす。
「うっ!」
颯太は水の中に飲み込まれ身動きが取れないでいた。
「颯太さん!」
「じゃあ、ばいばーい♪」
昂は颯太を水中に入れたまま、天井に打ち付けた。
「がはっ!」
物凄い勢いで落ちてくる颯太を受けとめようと海堂が走るが、後ろから将樹が追いつき颯太を受け止めた。
やっぱ速い。
正直、海堂じゃ間に合ってなかった。
「おい、昂。加減考えろ。やりすぎだ。」
「ごめんごめん。」
「颯太さん……大丈夫ですか?」
颯太は気を失っていた。
そりゃそうだ。
かなり強く打ち付けられていた。
「なんか早かったな。全然火出してなかったし。」
昂がこちらを見る。
「なんだよ。」
「……腕試ししてやるよ。その銃。」
「いや、俺はいい。」
「……いつまでも強くならないよ。次はちゃんと手加減するから。」
ヒカルを守るため……
俺は強くならねぇと。