第10章 ペンダント
樹輝saidり
「っ!待て!」
将樹が急に声を上げて俺らを止める。
その場にいた全員が驚いて静まる。
「……樹輝、ヒカルと楓太達を連れて上に隠れてろ。」
「……どうかしたのか?」
「早く行け!」
「お、おう……?」
よく分からないが言う通りにした。
階段を上がり高く積まれた物の影に隠れた。
楓太は海堂に抱かれたまま、まだ眠っている。
「昂、愛美!……来るぞ……」
「……了解……」
来る?誰だ?
ゆっくりと扉が開いた。
入ってきたのはスーツ姿の男が何人かだ。
将樹達は何か被っている。
顔を隠しているのか?
「……何のようだ……」
「初めましてー!能力者の皆さん!」
前に出てきたのは眼鏡をかけた男。
不敵な笑みを浮かべる。
相手は武器を持っている。
「……君たちを捕まえに来たんだよ(笑)」
「っ!!」
一斉に発砲される。
「どんな能力があっても身体は普通の人間だからこういう武器が効くのは知ってます(笑)」
将樹はやっぱり動きが速い。
全部避けてる。
しかも避けるだけじゃなくてちゃんと攻撃までしている。
1人……また1人と倒れていく。
死んで無い。
素手で倒してるのか?
昂と愛美も傷一つ付いてない。
「すごいね……イツキ……」
「……そうだな……」
俺らは将樹たちの戦いに目が離せなかった。
「そうそう……あと、もう一つの目的……君を連れ戻す事だよ……」
「っ!!」
振り向くと俺らの後ろにさっきの男が立っていた。
銃を向けられ身動きが取れない。
クソ……俺のは向こうに置いてきちまった。
俺はヒカルを1番に守るために後ろに隠す。
「へぇ、面白い……君はこいつのために死ねるのか?」
「……俺は……死んでも守る……」
「……死んだら守れないけどね(笑)……人殺しにはなりたくないんだよね……」
銃を下ろす。
そして、腹部にスタンガンを押し当てられた。
「う゛っ!」
「イツキ!!」
「樹輝先輩!!」
意識はまだあった。
けど体が動かない……