第1章 青と黄色の少年
樹輝side
目を覚ますと朝になっていた。
そのまま寝てしまったようだ。
俺は開いたままの資料を閉じベッドに近づく。
すると、ゆっくりと目を開いた。
綺麗な青色の瞳が瞼の間から覗く。
俺を見ると離れようと慌てて後ずさりした。
怯えている。
「大丈夫だ。俺は古賀樹輝。」
俺は手を差し出し、笑顔で尋ねる。
本当はこんな柄じゃない。
けど、自然と笑顔が出る。
「イツ……キ?」
「うん。」
俺をじっと見つめた後、俺の手を見つめた。
ゆっくりと手を出し、俺の手と合わせる。
「な?大丈夫だろ?」
「……ウン……」
「お前名前は?」
俯いた後、手を離し頭を抱えた。
「名前……なまえ……わかんない……」
分からない?
記憶が無いのか?
「お前、今までどこにいたか覚えてる?」
「……ウン……名前無い。ずっとあそこに居たから。」
てことは小さい頃からって事か?
……何て呼ぼうか……
名前がねぇと俺も困るし……
「よし、俺が名前付けてやるよ。」
「……名前を?」
「うん。そうだな……お前の笑顔見たことねぇし……これからは笑顔でいて欲しいから……ヒカルはどうだ?」
「……ヒカル?」
「うん、光り輝く様な笑顔でいれるように……ちょっと変か?」
「……ヒカル……うん……ヒカルいい。」
「そっか。」
俺はこの少年にヒカルと名付けることにした。