第8章 仲間……?
樹輝side
とりあえず……
「よし、終了。」
「あんたさ、結婚したら面倒くさそうだね。」
昴が隣で気だるそうに言う。
ちょっとイラッとした。
掃除も終ったし、そろそろ将樹の所に行くか。
「将樹……話って……」
「……最近、俺ら能力者を狙ってる奴が増えてるんだ。」
「狙ってる?どういう意味だ?」
「……俺らは普通じゃない。だからヒカルだって実験台として使われていた。能力者の力を利用しようとしてんだよ。」
「……利用って……」
「詳しくは分からねぇ。けど、昨日怪しい研究所の方に侵入して見てきたんだ。そしたら、中では人体実験が行われていた。おそらくヒカルがいた所と同じ組だ。」
昨日……じゃあ、その怪我……その時に?
「そこでなんだが、俺らの仲間にならねぇか?」
「……はぁ?」
「協力し合えばお互い守れる。もちろんヒカルもだ。俺らは不思議な力を持ってるだけで人間であることは間違いない。それをモルモットみてぇに扱われていいはずがねぇだろ。俺は少しでも多くの能力者が安心できるような世界にしたいんだ。」
将樹の目は本気だった。
コイツがそんな事思ってるなんて考えもしなかった。
確かに同じ人間を実験に使うのは腹が立つ。
何もやってないのに痛みと苦痛を与えられる。
俺だったら死んだ方がマシだと思うだろうな。
少しでもヒカルが住みやすくなるなら……
「分かった。仲間に入るよ。」
「イツキ……本当にいいの?嫌なら……」
「お前のためだ。嫌な訳ないだろ。」
将樹の顔は少し緩み安心したようだった。
「よかった。」